本コラムでは、トラベルマネジャーという役職に関してシリーズ化して、ビジネストラベルマネジメントシステム(BTM)の特徴や導入メリット、導入することで業務渡航における出張手配がどう変わるかについてお届けします。今回は1回目のコラムとなります。
トラベルマネジャーに関するコラムの一覧はこちら
第1回 欧州では一般的な「トラベルマネジャー」の役割とその重要性
第2回 トラベルマネジャーが業務渡航において果たす役割とは
第3回 トラベルデータの活用で海外出張の費用削減と満足度向上の両立を実現
第4回 トラベルデータを活用した国内出張の費用削減方法を解説
第5回 出張者の業務渡航時の安全管理の重要性と対応方法
第6回 ウィズコロナ時代の業務渡航の在り方と出張管理
今回は、ビジネストラベルマネジメントシステム(BTM)を活用して出張管理を変えるうえで重要な役割を担う「トラベルマネジャー」の役割とその重要性についてお話しましょう。
「トラベルマネジャー」、日本では聞き慣れない言葉、役職ですが、社員の出張をマネジメントする役割を持ち、欧米の多くの企業では存在する役職です。欧米では、出張管理を考える際、出張者を中心に人事総務部門、購買部門、セキュリティー部門、旅行会社、そしてトラベルマネジャーが登場します。
どの企業でも、出張旅費や宿泊費の限度額などが定められていることが多く、企業側の要求(出張規程)が厳しくなればなるほど、出張者の満足度は下がってゆくことになります。
例えば、出張の際、直行便ではなく経由便を活用すれば出張コストは削減できますが、出張者の心身に与える負担は大きくなり満足度は下がります。
出張コスト削減と出張者の満足度、企業と出張者の思いは相反することになります。双方の満足度の交点をいかに高いポイントで維持、継続的に向上させるかがトラベルマネジャーのミッションになります。
トラベルマネジャーがそのミッションを遂行するための具体的な業務は4つあります。
1つ目は、トラベルポリシー(出張規程)の策定と運用。これは、年間の出張者が100名の企業でも、1万人を超える企業でも同じ、出張規模とは関係のない重要な共通項です。出張者の満足度と適正なコスト管理を両立させるために、推奨すべき行程の見極め、主たる渡航先の都市毎のホテル選定まで、自社にとってベストな選択肢を追求します。
2つ目は、出張における安全管理(出張者の位置情報の把握)。社員が利用しているフライト情報、宿泊しているホテル情報は、常に把握できている状態にしておくことが求められます。でなければ、有事の際、会社として取るべき迅速な対応が取れません。
3つ目は、航空会社、ホテル、旅行会社など、サプライヤーの選定及び継続的な評価の実施。自社の渡航先の変化、航空会社の新規参入・新路線の開設、ホテルの新規開業、ホテルチェーンのM&A、等々、目が離せません。
4つ目は、出張を取り巻く環境変化を常に見据え、様々なトラベルデータに基づき、出張コストの最適化、出張者の利便性向上を念頭に、出張プログラム改善のPDCAを廻すこと。
トラベルマネジャーの存在は、トラベルデータの可視化、新たな仕組みやツールの導入により、ライフサイクルを通じて出張を包括管理する取り組みを始めた日本企業でも不可欠なものになってゆくでしょう。
次回からは、ビジネストラベルマネジメントシステム(BTM)導入によりもたらされた具体的な効果、トラベルマネジャーの果たした役割についてお届けいたします。
参考:Global Business Travel Associationが提供するトラベルマネージャー育成プログラム
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