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【海外出張手配のいろは/準備編】パスポート(旅券)の取得
投稿日:2022.04.05 / 最終更新日:2022.05.27

【海外出張手配のいろは/準備編】パスポート(旅券)の取得

 

出張手配には実際にどのような手続きが必要かをご存知でしょうか。プライベートの海外旅行と重なる部分もありますが、勝手が違っている部分もしばしばあります。

社員の安全管理や手配を円滑に行うことも、コロナ禍以降はこれまで以上に企業に求められます。本編からは、出張だけでなく海外渡航全般について、準備編、手配編、渡航編の3部構成で紹介します。

今回は海外渡航において最も重要であるパスポート(旅券)について解説します。

 

パスポート(旅券)とは

パスポートとは「世界で共通する身分証明書」です。

空港での出入国やビザの申請、宿泊先のチェックイン等、渡航や滞在において必要不可欠なアイテムです。

 

日本におけるパスポートの普及率

 

一般旅券発行数の推移(国内)

一般旅券発行数の推移(国内)

出典:旅券統計 (令和3年1月~12月)

 

外務省が発行している令和3年の「旅券統計」では有効旅券数は24,404,783冊となっており、日本におけるパスポートの普及率は19.5%となっています。新型コロナウイルスの流行以前は20%以上の普及率で、新規発行数も年々増加していましたが、新型コロナウイルスの影響による出国者数減少に伴う、パスポートの新規発行数が2年連続で大幅に減少したことが、普及率低下の要因と考えられます。

(令和 3 年の出国者数は前年比83.9%減、平成 31・令和元年比 97.4%減:出入国在留管理庁「出入国管理統計」暫定値)



日本のパスポートは世界最強?

イギリスのコンサルティング会社である「ヘンリー&パートナーズ」が行った調査によると、事前のビザ申請なしで入国が可能な国の数は日本は192ヵ国となっています。(2022年1月時点)

これはビザなしで渡航できる国数としては世界最多であり、日本のパスポートが世界最強と呼ばれる所以です。

ただし、この調査は現地で簡単に取得できるビザや電子ビザはビザ申請不要にカウントされているので、入国時や滞在条件、入国目的によっては日本出国前のビザ取得が必要な国もあります。

業務渡航の場合は滞在日数も長く、業務ビザや就労ビザの申請が必要な場合もあるので注意しましょう。

出典:Henley Passport Index

 

パスポートの種類

パスポートには主に一般旅券と公用旅券の2種類が存在します。公用旅券は国会議員や公務員が公務で渡航する際に使用します。

ここでは出張手配に関係する一般旅券について触れていきます。一般旅券には5年用と10年用の2種類が用意されています。

 

5年用

紺色のパスポートです。18歳未満の場合は5年用しか申請出来ません。18歳以上であれば、5年用もしくは10年用のいずれかを選択します。未成年は身体の成長や顔つきの変化が大きいため、10年用を申請出来ないとされています。

(令和3年3月31日までの申請は20歳未満となっていますが、成人年齢の引き下げに伴いパスポートの申請年齢も変更されました。)

 

10年用

赤色のパスポートです。更新の費用や手間を考えると、10年用を申請する方が多いでしょう。査証ページ数も5年用より増えますが、出張が頻繁にある方は査証欄の増補(ページ数の追加)が必要な場合もあります。

 

一般旅券

5年用

10年用

申請年齢

制限なし

18歳以上

費用

11,000円

16,000円

査証ページ数

32ページ

48ページ

増補可能数(査証ページの追加)

40ページ(1回限り)

40ページ(1回限り)

表紙の色

パスポートの申請に必要な書類を揃える

パスポートの申請には主に新規発給と切替発給があり、ここではその2つに触れていきます。その他にも記載事項の変更や増補等があります。発給に必要な書類は以下の通りです。

 

一般旅券発給申請書 1通

外務省のサイトから事前にダウンロードすることも可能です。

ここで重要な点は、「パスポートの氏名表記は一度申請すると変えることが出来ない」ということです。

ヘボン式ローマ字のルールに沿って、名前のスペルを登録します。一度、申請された表記は婚姻等による氏名変更を除き、基本的に変更することは出来ないので注意しましょう。

ヘボン式ローマ字の解説はこちら。

【海外出張のいろは/準備編】ヘボン式ローマ字のルール

 

戸籍謄本(または戸籍抄本) 1通

申請日前6か月以内に作成されたものを用意します。取り寄せには日数がかかるので、パスポートの申請が必要であれば早めに取り掛かりましょう。

 

住民票の写し 1通

住民登録のある都道府県で申請する場合は不要です。住民票が必要になるかどうかは申請先の窓口に問い合わせましょう。

 

写真 1葉

縦45mm×横35mmの証明写真です。

非常に細かくルールが決まっているので撮影の前に必ず確認しましょう。証明写真機でも手軽に取得できますが、不安な方は写真スタジオで撮影すると安心です。

 

有効旅券

新規発給、切替発給を問わず、手元に有効旅券がある場合は、申請時に提出して失効処理をします。

 

申請者本人に間違いないことを確認できる書類

運転免許証やマイナンバーカードであれば1点で済みますが、それ以外の書類の場合は2点を用意します。

必要書類

1点でよい書類

マイナンバーカード(個人番号カード。通知カードは不可。)、運転免許証、船員手帳など

2点必要な書類

(A)と(B)から1点ずつ用意

(A)健康保険証、国民健康保険証、共済組合員証、船員保険証、後期高齢者医療被保険者証、国民年金証書(手帳)、厚生年金証書、船員保険年金証書、恩給証書、共済年金証書、印鑑登録証明書等

(B)学生証、会社の身分証明書、公の機関が発行した資格証明書等

 

出典:日本国内及び海外でパスポートに関する申請手続きに通常必要な書類|外務省



パスポートの申請

パスポートを申請する

パスポートセンターや各自治体が設置している窓口で申請します。発給にかかる日数は、一般的には6営業日ですが窓口により異なります。

土日祝日や本人による受領を考慮すると、少なくとも受取まで10日~2週間程度を要するため、渡航までの日数を逆算して余裕を持って申請しましょう。

 

未成年者が申請する場合

申請書の「法定代理人署名」欄に親権者(父母またはそのいずれか)、または後見人の署名が必要です。

何らかの理由で申請書に署名ができない場合は、親権者ご本人または後見人が署名した同意書を提出する必要があります。署名が得られない事情がある場合は、各都道府県のパスポート申請窓口に相談しましょう。

 

申請書の代理提出する場合

申請は代理者の提出でも構いません。ただし、代理提出における委任欄への記入や代理者の本人確認書類が必要です。

 

パスポートを受領する

パスポートの受取は本人に限られます。受取には2点の用意が必要です。

また、申請受付可能時間と受取可能時間が別に設定されている窓口もあります。営業時間や曜日を必ず確認しましょう。

 

申請の時に渡された受理票

パスポートの申請時に渡される引換票です。

 

手数料

パスポートの申請費用分の収入証紙及び収入印紙を受領証に貼付する必要があります。申請窓口では購入出来ないこともあるので、事前に用意しておくと安心です。

 

パスポートに関するよくある質問

旧姓のままでも渡航に問題ないか

旧姓のままでもパスポートは有効です。重要な点は、航空券やホテルを予約したスペルとパスポートのスペルが一致しているかどうかです。一文字でも異なっていた場合は、渡航を断念せざるを得ないでしょう。

氏名や本籍地の変更が必要な場合は、記載事項変更旅券の申請を6,000円で行うことが可能です。

旧姓や別性の併記に関する要件が令和3年から緩和されているため、業務渡航やキャリアの関係で旧姓の継続が望ましい方も利用しやすくなっています。

 

パスポートの有効期限が残り少なくっている

渡航国によっては入国条件にパスポートの有効期限が設定されている場合があります。設定されている場合は入国日から3~6ヵ月以上の残存日数が求められることが多いです。前触れもなく入国条件が変更になり、不法滞在に該当してしまうケースもあるので、有効期限が1年を切った場合は更新することをおすすめします。

 

急いでパスポートを発給してほしい

海外出張や不慮の事故、ご家族の不幸等で急遽渡航が決まった方から多い質問です。人道的な配慮が必要な場合を除いて、パスポート申請における特別対応はまずありません。

 

パスポートを紛失してしまった

渡航先で紛失した場合と日本国内で紛失した場合で対応は異なります。

渡航中に紛失した場合

1.現地の警察や消防署等の公的機関に届け出る

パスポートを紛失した証明書を発行してもらえます。手続きは国毎に異なるので、出発前に確認しましょう。

 

2.日本大使館でパスポートの失効手続きを行う

紛失証明書を使ってパスポートの失効手続きを行います。必要書類は滞在状況等で異なります。手続きを行う在外公館へ問い合わせましょう

 

3.「帰国のための渡航書」か「パスポート」の発行を行う

帰国のための渡航書は、パスポートの代わりとして日本へ帰国するために発行されます。日本への帰国前にその他の国に入国する予定がある場合は使えません。

滞在日数に余裕がある場合や周遊を予定している場合はパスポートを申請します。

手数料や必要書類は滞在国により異なります。こちらはパスポートの失効手続きと同時に申請が可能です。

 

日本で紛失した場合

1.パスポートの申請窓口に紛失を届け出る

必要書類を揃えて届け出ましょう。必要書類は以下の通りです。

 

 ・紛失一般旅券等届出書

 ・紛失または焼失を証明する書類

 ・6か月以内に撮影された顔写真(縦45mm×横35mm)

 ・本人確認のための書類

 ・住民票(対象者のみ)

 

2.パスポートを再発行する

紛失を届け出ると同時に新規発給の手続きを行うことが出来ます。再発行も希望する場合は上記に加えて以下の書類が必要です。

証明写真は紛失届と新規発給の両方で必要なため、合計2枚準備します。

 

 ・一般旅券発給申請書

 ・6か月以内に撮影された顔写真(縦45mm×横35mm)2葉

 ・戸籍謄(抄)本

 

3.パスポートを受領する

受取は本人に限ります。手数料も新規発給と同額が必要なため、収入印紙も購入しましょう。

 

まとめ

パスポートについて解説しました。海外渡航において最重要アイテムであるといっても過言ではないパスポートは、厳格なルールの下で取り扱われています。個別対応も期待できないため、パスポートの申請は余裕を持って臨みましょう。ここでは主に手続きについて解説しましたが、邦人保護の役割を果たすパスポートは悪用されることもあるため、徹底した管理が必要です。現地での保管方法や紛失等のトラブル時の対応も出国前に確認されることをおすすめします。

次回はパスポート申請や航空券手配において重要なヘボン式ローマ字について解説します。

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