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生成系AIがもたらす旅行産業・業務出張の変化について
投稿日:2023.11.13 / 最終更新日:2023.10.30

生成系AIがもたらす旅行産業・業務出張の変化について

皆さんはChatGPTを使用したことはありますか?2023年はAIブームと言われ、ChatGPTをはじめとする様々なAIサービスが誕生しました。それらのサービスは生成系AI(ジェネレーティブAI)と呼ばれ、様々な分野での活用が期待されています。

旅行分野も生成系AIの活用が期待される分野の一つであり、既にいくつかのサービスが誕生しています。

本コラムでは、生成系AIの概要を説明するとともに、旅行分野における生成系AIの活用事例を紹介します。

生成系AIとは

生成系AIとは、ジェネレーティブAIとも呼ばれ、学習済みのデータを活用して、オリジナルデータを生成するAIを指します。人工知能(AI)自体は昔から研究されており、様々な分野で活用されていましたが、オリジナルデータを生成するという点が今回注目されています。

生成系AIサービスの代表例であるChatGPTの普及率

現在、生成系AIの分野で最も有名なのはChatGPTではないでしょうか。ChatGPTはOpenAI社が開発した自然言語処理ツールです。ChatGPTはサービスを開始からわずか5日でユーザー数が100万人を突破しました。皆さんがご存じのInstagramが2.5ヵ月、Facebookが10ヵ月であることを考えると驚異的な普及ペースと言えるでしょう。

日本におけるChatGPTの普及率

それでは、ChatGPTは日本でどの程度利用されているのでしょうか。野村総合研究所が作成している「日本のChatGPT利用動向」によると、2023年6月時点で767万アクセスとのことです。なお、年齢別・性別による利用率でいうと、最も利用率が高いのが男性10代の40%であり、年齢が進むにつれて利用率が低下する傾向にあります。

出典:日本のChatGPT利用動向(2023年6月時点)

生成系AIのサービス事例

さきほど生成系AIの代表例としてChatGPTを紹介しましたが、生成系AIはその他の分野でも活用されています。代表的な分野としては、テキストアシスタント系サービス、画像生成系サービス、音声生成系サービスがあります。

テキスト(アシスタント)系サービス

生成系AIで最も有名な分野は、自然言語処理を活用したチャットアシスタント系のサービスです。Microsoftが提供するChatGPTやGoogleが提供するBardなどが有名です。また、Notion AIなど、テキストの作成と校正に加え、文章の要約や翻訳、営業メールやSNS投稿文の作成、表の作成等を支援するアシスタント系のサービスも搭乗しています。

画像系サービス

テキスト系と同じく、多くのユーザーが活用しているのが画像系サービスです。ユーザーのイメージを文章で伝えることで、それに類する画像が生成されます。この分野で有名なサービスとしては、Stable Diffusion / Midjourney / Adobe Fireflyなどがあります。

音声系サービス

生成系AIは、音声系のサービスでも広がりを見せています。あなたが声を発し、その音を認識すると、テキストの文章をあなたの声に模倣して発生することが可能になるサービスがあります。提供しているサービスの例としては、PlayHT / VALL-Eなどがあります。さらには、音声模倣と翻訳を組み合わせたサービスなども台頭してきています。

その他の分野のサービス

生成系AIは、その他の分野でも活用の広がりを見せています。例えば、以下のサービスがシリコンバレーの有名アクセラレータプログラムY Combinatorの2023年冬には次のようなサービスが紹介されました。

AiFlow 

LLM を使用して数秒で市場調査を自動化するソリューションで、プロのコンサルティング会社のアナリストに頼む場合の100分の1のコストでレポートを作成できる。

Flowworks 

営業チームが Slack から CRM アップデートを送信したり、フォローアップをスケジュールしたり、メールを送信したり、レポートを受信したりなど、すべてのタスクを実行できるようにする。

Zenfetch 

技術営業チームのためのリアルタイム通話アシスタント。非技術営業担当者が、製品エンジニアやセールスエンジニアの同席が無くても、その場で技術的な反論に対処するのを支援する。

出典:Y Combinatorの2023年冬バッチから輩出された、有望ジェネレーティブAIスタートアップ55社をご紹介

旅行分野における生成系AIのサービス事例

生成系AIは旅行分野でも徐々に展開されています。代表的な分野としては、旅程生成サービスや検索支援サービスがあります。また、旅行業者向けに業務支援ツールを提供しているケースもあります。

旅程生成サービス

場所や日程、好きなもの、予算などを入力すると、自動的に旅行プランが生成されるサービスです。旅先の主要観光地やアクティビティなどを組み込んだプランなので、旅先の情報が素早く手に入ります。提案されたプランをもとに、詳細を組みなおしていく使い方が想定されます。

次の動画はiplan社が提供しているサービスのイメージ動画です。

検索支援サービス

これまでの検索では、自身で検索フィルターを活用し、最適な航空券や宿泊施設を探すことが一般的でした。しかし、検索支援型の生成系AIサービスを活用すると、自分の希望を伝えるとそれに適したフライトやホテルが自動的に抽出されるため、自分で探す手間が軽減されます。今後、多くのOTAによって検索支援サービスを提供することが予想されます。

旅行業務支援サービス

最後は、旅行会社向けのサービスです。旅行会社が旅行客を引き付けるために作成するコンテンツの生成や旅行プランの生成などを支援してくれます。その他では顧客に対する営業メールなど、人手不足に悩む旅行会社の業務支援が期待されています。

出張分野での生成系AI活用事例

業務渡航の分野においては、まだ具体的なサービス事例はそれほど出ていませんが、次のような分野が期待されています。

航空券や宿泊施設の予約アシスタント

出張では、出張先でのスケジュールに合わせた旅程プランが必要になります。また、選択された飛行機やホテルは、企業の旅費規程を満たしている必要があります。生成系AIには、そうした旅費規程を考慮した最適な旅行プランの作成が求められています。

自社の出張状況の把握・レポート作成

企業の管理者は出張データを取得し、年間の出張費用を把握するとともに、出張費用削減に向けた方策を検討する必要があります。これまでは何かしらの方法で出張データを取り出した後、エクセル等を活用して分析し、レポートを作成することが一般的でした。しかし、生成系AIの登場により、指示するだけで自動的に出張費用レポートが作成されることが期待されています。

最後に

本コラムでは、2023年初頭より盛り上がりを見せる生成系AIについて解説しました。生成系AIは今後も急速な発展が期待される分野です。皆さんの出張や出張管理に役立つ日が来るのもそう遠くないかもしれません。

これからも出張分野におけるテクノロジーの活用に注目していきたいと思います。

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