経費の不正は、定期的にニュース報道されるなど、どの企業でも起こりうる課題です。経費の不正の中で最も起こりやすいのが交通費の不正といわれており、出張はその最たる事象です。出張時の不正を防ぐにはどうしたらよいのか?この記事では、出張時に発生する不正経費の種類と防止策について解説します。
経費の不正とは、経費に関する不正請求のことで、出張者が会社に対し、実際に使用した金額よりも多めの費用や存在しない費用を意図的に請求することです。出張においては次のような不正が考えられます。
経費の水増しとは、実際にかかった金額より多い金額を請求することです。旅費交通費であれば、実際には使っていない交通費を加算して請求したり、1泊しかしていないのに2泊分の宿泊費を請求するケースが該当します。また、出張先における取引先との会食であれば、取引先と費用を折半したにも関わらず、全額の領収書を取得し、請求するケースなどが当てはまります。
続いては、実際には出張していないのに、出張したかのように見せかけて、旅費交通費を申請するケースです。また、出張時におけるプライベートの飲食費を取引先を接待したように見せかけるケースもあります。ともに発生する事例は少ないですが、時々、ニュースで報道されることもあるように、無視することのできない経費の不正です。
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参考:No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書(国税庁)
出張に伴う経費の不正がなぜ発生するかを探るためには、自社の経費申請の流れを確認する必要があります。
出張において事前申請機能がない企業も一定数います。そういった企業では、出張の内容が事前に精査されないため、不正が起こりやすくなります。
他方で、出張において事前申請を導入した場合、出張の多い企業では承認者の負担が非常に大きくなるという課題もあります。そのため、交際費などが発生する場合のみ、事前申請を行うケースもあるようです。
出張に伴う経費の不正をチェックするのは、経理担当者の役割になります。しかし、出張時の経路確認は不慣れな土地ということもあり、非常に負担の大きい作業となり、不正を見落としたり、小さな不正であればあえて指摘せずに見逃すことも起こりえます。
経理担当者による手作業でのチェックを減らしていくことも不正防止のための重要な課題です。
カラ出張や交通費の水増しなど、出張経費の不正に関する疑いがあったときは、どのように対応すべきでしょうか。ここでは、疑いがあった場合の対応手順を解説します。
最初に行うべきは、不正請求の証拠を押さえることです。移動手段であれば、購入履歴やキャンセル履歴を確認しましょう。宿泊施設に関しては、宿泊先に確認をとります。また、訪問先企業に問い合わせ、該当者が訪問したかを確認しましょう。
確認を行った上で、経費の不正が明らかになった場合は、証拠を揃えたうえで出張者に確認します。出張者が不正を認めた場合は、その内容を書面にして本人の署名をさせます。
本人が不正を認めた後は、会社が社内処分として、就業規則に則り、減給や出勤停止、解雇などの処分を決定します。また、法的には刑事訴訟、民事訴訟も考えられますので、訴訟の有無について社内で検討しましょう。
なお、懲戒処分などの妥当性は、不正の被害額や悪質性等により異なるため、事前に弁護士へ相談すると良いでしょう。
故意の不正は言語道断ですが、中には出張者が出張規程を把握していないことによって偶発的に不正経費につながる申請を行なってしまうケースもあります。そういったケースを防止するためにも、会社側は、不正を起こさせない環境構築が重要です。以下は経費の不正に関する防止策の例です。
最初に行うべきは、出張旅費規程の整備です。会社としての正しい経費利用の在り方がないと、経費の水増しなどが分かっても、その点を追求することが難しくなってしまいます。経路選択におけるルール等を明記しましょう。
出張旅費規程を整備したら、次は、経費申請のプロセスを明確にしましょう。具体的には、以下のような点を明記します。
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一般的に立替費用が多ければ多いほど、経費の不正は多くなります。例えば、最も不正が起こりやすい交通費に関して、立替を廃止することで、大半の不正経費は防げるでしょう。社員による立替をなくすためには、コーポレートカードの支給や後述する出張管理システムの活用が考えられます。
出張者が出張管理システム内で予約を行うと、出張者の行動が可視化されるため、移動経路に関する不正やカラ出張を防ぐことが可能になります。また、支払いも企業と出張管理システム内で行なわれるため、出張者による立替がなくなります。
また、出張管理システムでは規程の登録や規程遵守チェックが可能なため、経理担当者による手作業でのチェックが自動化され、業務効率の向上に加え、不正検知の精度が高まります。
出張に関する業務プロセスの見直しやBTM(ビジネストラベルマネジメントシステム)の活用により、出張に伴う不正経理は大部分を防ぐことが可能です。整備が進んでいない企業は、現状の出張プロセスの見直しに取り組まれるとよいでしょう。
よいでしょう。
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