皆さんは、ブリージャー(Bleisure)という用語をご存じでしょうか。Bleisure(ブリージャー)とは、ビジネス(Busness)とレジャー(Leisure)を組み合わせた言葉で、出張の前後に休暇をいれることで、出張先での観光や休息を楽しむことができる制度のことです。
例えば、出張に伴い、1泊2日の日程で北海道へ訪れることになった場合であれば、出張業務終了後に一日有給を取得して2泊3日の行程に変え、3日目を休暇として現地で過ごすことができます。
なお、ブリージャーに似た制度としては、ワーケーションがありますが、ワーケーションは滞在先での日常業務を目的とするのに対し、ブリージャーは出張に紐づいた休暇取得となります。
ブリージャーの詳細が知りたい方はこちらをご覧ください。
出張は身体的にも負荷が高く、従業員によっては離職の要因になることもありますが、ブリージャーを活用することで、出張者の満足度向上につながると考えられています。一方で会社にとっては日当や労災など制度導入にあたって懸念事項も存在します。
この記事では、出張に休暇を組み合わせた場合の会社側の留意点について解説します。
ブリージャーは休日にあたるため、出張先で発生した各種費用は出張者自身による負担が原則です。一部ホテル代などを会社が負担してくれるケースもありますが、余暇にかかった食事代や観光代は自分で支払う必要があります。また、出張先での延長滞在期間は日当の対象外になります。
このようにブリージャーにおける費用負担は明確に思いがちですが、判断が難しい点もいくつか存在します。代表的なものが飛行機の料金です。
仮に出張者が木曜日から金曜日に渡っての1泊2日の出張が入っていたとします。そこで出張者が1日の有給を取得し、フライトが土曜日になったとします。
飛行機の料金は、休日である土日のほうが料金が高くなりがちです。そのため、本来の予定(金曜日)であれば飛行機代が20,000円であったのに対し、休暇に伴う(土曜日の)フライトの料金が25,000円に上昇したとします。
この場合の上昇した料金は誰が負担するのでしょうか。海外の場合、料金の上昇が更に高まる可能性もあるので、ブリージャーを導入する場合は休暇取得に伴う料金変動の取り扱いについて整理しておく必要があります。
同様に、海外出張における保険の負担等についても明記しておくとよいでしょう。
出張期間中の日当や残業の取り扱いについて知りたい方はこちらをご覧ください。
出張期間中の休日は日当の対象範囲?残業代は支払われる?出張と労働時間の関係を解説
出張中に発生したケガは、労災の適用範囲となります。しかし、労災はあくまでも業務に関連した事象のみが対象となります。そのため、ブリージャーによる休日に発生した怪我は労災が適用できません。
先ほどの例のように、木曜日から金曜日に渡っての1泊2日の出張に土曜日を休暇取得した場合、金曜日の何時までが仕事で、いつからが休暇扱いになるかについても、労災適用の可否を判断する上で重要になるので、事前に整理しておきましょう。
最後は、休暇中の個人情報の取扱いです。出張中は会社のパソコンを携帯することが多いと思います。休日となったときに、ホテルのチェックアウト後、パソコンなどの機密情報をどのように管理するのか。
これらのセキュリティ管理規則を個々人に委ねるのは非常に危険なため、会社としてブリージャー実施時の機密情報の取扱方法について規程しておくことが重要になります。
多様な働き方は日本においても推進されることが予想され、ブリージャーも徐々に普及することが予想されます。
企業としても採用力強化の手段として有効な制度になるため、しっかりと制度の規則を定め、従業員の自由な働き方を支援していきましょう。
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