新型コロナウイルスの感染も収束の動きが見え、ビジネス出張やレジャーによる人々の動きが活性化しています。
観光庁が実施したアンケート「海外旅行に関する意識調査」によると、Z世代の4割以上が、「2023年こそ海外旅行に行きたいと思う」と回答しています。さらに、海外旅行経験者に絞ると、その割合はさらに増加し、9割以上が海外旅行に行きたいと回答しています。
ビジネスを目的とした法人による海外出張も増えており、今後、飛行機を活用した移動はますます増加することが予想されます。
海外旅行の増加によって気になるのが旅行費用です。旅行費用の中で大きな割合を占めるのが、航空券代と宿泊費用です。航空券は近場でも5万円以上、欧米への移動であれば数十万に及び旅行費用に大きなインパクトを与えます。
新型コロナウイルスの前後で航空券の価格は上昇しているのか、下落しているのか。本コラムでは、アメリカの国内線フライトをもとに航空券価格の推移について調査します。
今回の価格調査にあたり対象としたのは、United Staets Department of Transportationが提供する米国の国内線の航空券価格です。
出典:Air Fares(United Staets Department of Transportation)
まずは、1995年からの米国国内線の航空券価格の推移を見てみましょう。
このデータを見ると、航空券の価格は年々上昇していることが分かります。しかし、モノやサービスの価格は一般的に増加傾向にあるため、インフレ率を考慮する必要があります。
インフレ率を考慮すると、航空券価格は減少傾向にあることが分かります。さらに、インフレ率を考慮した場合と、そうでない場合の価格指数の変化をグラフ化すると両者の違いが鮮明になります。
航空券価格は減少しており、それに伴いレジャー・ビジネスを含めた、飛行機による移動は一般化したと言えるでしょう。
前述の航空券価格推移から、航空券価格は下落傾向にあることが分かりました。それでは、新型コロナウイルス感染拡大の前後における航空券価格を見てみましょう。
上の図は2019年から2022年までの四半期ごとの航空券価格の推移です(インフレ補正済)。このデータを見ると、新型コロナウイルスの感染拡大が世間に浸透した2020年第一四半期頃から価格の下落が始まっていることが分かります。そして、日本では緊急事態宣言が発令された2020年5月頃にかけて航空券価格が最低値を更新しています。
しかし、2022年の第2四半期には価格は、新型コロナウイルス感染拡大前の数値に戻っており、航空券価格は標準的な価格帯に入ったと考えてよいでしょう。
世界における宿泊施設の相場も、フライト同様、新型コロナ感染ウイルスの拡大期間中は大幅に下落しましたが、現在は、コロナ以前の数値を上回っています。
ホテルの料金相場については下記の記事で調査しているのでご興味のある方は是非ご覧ください。
出張時のホテル相場の設定方法。世界主要都市のホテルの料金相場も紹介。
現時点で判断することは難しいですが、一般的に人々の往来が増え、飛行機の運航が通常時に戻れば、レジャー客を対象とした価格設定をしてくるものと思われます。そのため、航空券の価格は減少するという見方が一般的です。
ただし、国際線に関しては燃油代の高騰などにより、国内線とは異なる価格推移となる可能性もあるので注意が必要です。
いかがでしたか。法人出張において、出張費用は、出張者の安全に並んで重要な要素といえます。利用する飛行機や宿泊施設については、出張者の満足度にも大きく影響するため、価格の推移を意識し、適切な出張相場を設定するのが良いでしょう。