日本入国・帰国時の待機条件緩和に伴い、海外出張を再開する企業様が増えてきました。IATA(国際航空運送協会)の世界旅客輸送実績においても、2022年1月の国際線の有償旅客の輸送距離を示すRPK(有償旅客キロ)は、前年同月と比較して165.6%増となっており、海外への渡航は世界的に回復基調にあると言えそうです。
出典元:IATA(国際航空運送協会)
https://www.iata.org/en/pressroom/2022-releases/2022-03-10-01/
しかし、コロナの影響により、業務渡航において海外へ赴く際に求められる要件は大きく変わりました。その結果、企業はアフターコロナの様式を備えた出張体制を構築する必要があります。
そこで、本記事では、コロナの前後における海外出張の相違点をお伝えするとともに、海外出張再開に向けて企業が構築すべき体制について解説します。
コロナの前後で大きく変わったのは、出入国時の確認要件が複雑化した点です。これまでは、パスポートと旅券さえあれば出入国が可能でしたが、昨今は各種書類を提出する必要があります。また、航空会社も需給の影響等により、減便やフライト欠航を行っているのでその点も注意が必要です。
これまではパスポートを所持すれば入国できる国が大半でしたが、現在は、PCRの検査結果やワクチン接種証明書などの提示が求められます。また、渡航国に入国した際の公共交通機関の利用制限などが存在する場合もあるので、渡航先の出入国要件は必ず確認しましょう。
これまでフライトに関して出発時刻の遅延はあっても飛行機が欠航するケースはほとんどありませんでしたが、最近は、航空会社の都合によりフライトを欠航することが増えました。
その場合、代替便の提示があることがほとんどですが、業務渡航においてはスケジュールが予め決まっているケースがあるため、影響の大きい事象といえます。
渡航先で無事に用務を終えて帰国した際には、国が定める待機ルールを遵守する必要があります。また、入国者向けの健康居場所確認アプリの利用なども求められ、すぐに職場に復帰できないケースがあります。
複雑化する海外出張時の出入国要件に対し、企業が整備すべき点は以下の通りです。
昨今、出入国要件は毎週のように変わっています。入国時に求められる書類や帰国時の待機ルールの厳格化・緩和などは日々変わり、要件を満たさないと渡航先に入国できないケースなどもあります。そのため、海外出張発生時に社内で誰がどのように確認し、情報共有するかを整理する必要があります。
参考:新型コロナウイルスに係る日本からの渡航者・日本人に対する各国・地域の入国制限措置及び入国に際しての条件・行動制限措置
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/pdfhistory_world.html
現状、海外出張する場合は、出発直前のPCR検査やビザの取得が必要になります。そうした対応を出張者に一任すると、出入国要件に適しておらず(例:出発の72時間以内の検査が必要なのに、一週間前に検査してしまう)、渡航できないケースなどもあります。それゆえ、会社として信頼できる機関に依頼できるよう、予め手配先を確保しましょう。一般的には、旅行会社に依頼することによって大半の手配物を代理手配してくれます。
海外でのコロナ感染に伴う治療や入院を想定し、海外旅行保険の補償内容を見直す企業が増えています。特にクレジットカード付帯の保険ですと、治療に対する補償額が少ないケースもあるため、補償の内容を確認の上、追加で海外旅行保険を付保する必要がないかを検討しましょう。
出張者や同僚の不安を取り除くため、帰国後の出社に関して独自の規則を定めている会社もいます。出張者が安心して海外渡航できるよう、社内規則の見直しが求められています。
今後、出張を再開する企業は増えてくると思いますが、出張再開に先立ち、出張者を支援する体制を構築することも重要になります。
これらを全て自社内で対応することは難しく、特に出入国条件の確認などは旅行会社に依頼する方が効率的です。また、ビジネストラベルマネジメントシステム(BTM)を活用することで、必要な情報を効率的に取得するとともに、出張者の出張状況を確認することも効果的です。
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