旅行者自身での航空券や宿泊施設の予約があたりまえになった現在ですが、企業では引き続き、旅行会社を利用するケースが多くみられます。
コロナ前の調査結果になりますが、セーバージャパンが実施したビジネストラベルマネジメント(BTM)に関する海外出張者の実態調査によると、企業の55%が「会社指定の旅行会社がある」と回答しています(海外出張が対象)。
旅行会社に手配を依頼すると手配に関する手数料が発生し、航空券や宿泊施設をご自身で予約する場合よりも総額が高くなる場合もあります。一方で、旅行会社を活用することによるメリットは複数あります。
この記事では、出張手配に旅行会社を活用するメリットと注意点を解説します。
「旅行代理店を使うと高くなる」とお考えの方は、多いと思います。実際、人が介在する分、手数料が発生するため、料金が高くなるのは事実です。しかし、旅行会社だからこそできることもあります。それは、「仮予約」という制度です。
皆さんがオンラインで航空券を購入する場合、予約と同時に購入することが多いと思います。オンライン予約サイトで金額を確認し、社内の出張申請を行った後に予約を試みると料金が上がっていたというケースはありませんか。航空券は座席の空席状況により料金が変動するため、確認時と予約時で料金が変わってしまうことがあります。
一方、旅行会社は、航空券を「仮予約」することができます。航空券の価格は予約時に決定するため、仮予約を行うことで、料金の値上がりを防ぐことができるのです。
航空券の料金値上がり幅は時期によって異なりますが、ご出発の前の一週間前くらいになると、金額の増加は顕著であり、1日10%以上料金が高くなることもあります。海外航空券の料金は10万円を超えることもよくあり、10%の変動は大きな影響を与えます。
そのため、旅行会社を活用することで、航空券の購入料金の削減が可能となります。
なお、宿泊施設については、航空券ほど値上がりは顕著ではなりませんが、希望の部屋が埋まり、一つ上のグレードの部屋しか残っていないといったケースもあります。一方、旅行会社を活用すれば、航空券と同様に、仮予約の活用によって想定していた費用での宿泊が可能です。
続いては、旅行会社の知見や商品力を活用した費用削減効果です。例えば、東京から福岡に出張する場合に、航空券と宿泊施設を個別に予約する方法と、両者がセットになったパッケージ商品を活用するケースがあります。一般的にはパッケージ商品の方が安いですが、時期によっては個別に購入した方が安いケースもあります。旅行会社はそれらの比較に関するノウハウを持っているため、効率的に最安値を探してもらうことが可能です。
個人で手配することが簡単になったために生じた課題が費用の妥当性の判断です。出張者が個々人で手配する場合は、検索サイトなどを利用して手配を行いますが、その検索結果の妥当性を判断するためには、第三者が同様に価格を調査する必要があります。一方、旅行代理店を活用すれば、原則、経済合理的なプランを提示するため、出張費を適正に運用することが可能になります。
ただし、旅行会社によっては企業の出張規程まで考慮して提案してくれない場合もあります。一方で、出張者自身が出張規程を把握し、「〇〇〇円以内の宿泊施設を手配してください」と伝えることも難しいです。そのため、理想的には、出張管理機能や出張管理システムを一体で有する旅行会社に依頼すると、効率的かつ透明性のある出張手配が実現可能です。
コロナ以降、出張者の安全管理は企業にとって重要なテーマとなりました。例えば、出張者が現地でコロナに感染した場合、航空券の取り直しやホテルの確保が必要になるなど、出張者のケアが必要になります。加えて、戦争など世界情勢の不安定化により、渡航中の出張者の安全確保の重要性はますます高まることでしょう。
ジェイアイ傷害火災保険が公表している2018年度の海外旅行保険の事故データによると、海外旅行保険の事故発生率:3.70%(27人に1人)とのことです。
旅行代理店は地域に精通しているため、安全を考慮したホテル選びを行ってくれます。また、渡航者が現地でトラブルに巻き込まれた場合に提携先の現地旅行会社などを紹介してくれるケースもあります。社員の安全な出張のためにも旅行代理店を使うという選択はあるでしょう。
出張者がご自身で予約する場合、自分自身のクレジットカードで予約するケースが多いです。その場合、出張者が出張に要する費用を一時的に負担する必要があります。出張費用は高額であり、国内出張でも5~10万円、海外出張であれば数十万円負担することになります。個々人が数十万円を立替することは、生活にも影響する大きな金銭的負担といえるでしょう。
一方、旅行会社に依頼すれば、支払いは企業に一括で請求されるため、出張者による出張費の立替を解消することが可能です。
最後は、業務負荷の軽減です。出張時は資料の準備やスケジュール調整に追われて、何かと忙しくなりがちです。そこに航空券やホテルの手配が加わると、出張者の業務負荷は更に増します。
特に海外出張においては、コロナの影響により、出入国の要件が厳格化されています。例えば、PCR検査を出国の72時間前以内に受検する必要があったり、これまで不要だったビザの申請が必要になるケースもあります。
また、出張ではスケジュール変更する場合が頻繁に発生します。その場合、航空券やホテルの変更・取消が必要になりますが、旅行会社で手配している場合は、旅行会社に依頼するだけで済むため業務負担は大幅に減少します。
出張中のパフォーマンスを最大限発揮する意味でも、手配部分を旅行代理店に任せることは合理的な判断と言えるでしょう。
前述の通り、とりわけ業務出張については旅行会社を活用する価値は大いにあります。一方で依頼する際に気を付けるべき点もあります。
旅行会社は、航空券の発券時や変更・取消時などに手配手数料を収受します。手配手数料は、定額の場合もありれば、航空券の料金の何%というケースもあります。また、取消・変更時の手数料の料金なども旅行会社によって異なります。
旅行会社に手配を依頼する場合は手配手数料を確認しましょう。
旅行会社に航空券や宿泊施設の予約や発券できるのは、旅行会社が営業時している時間帯のみです。そのため、平日の夜や土日は対応できず、出張者ご自身で対応する必要があります。そのため、旅行会社の営業時間や営業時間外の対応方針について予め確認するとよいでしょう。
テクノロジーの進化により、より個人による手配は進むと思います。しかし、一方で法人出張の場合は、価格のみを求めるのではなく、安全性や快適さを含めたプラン選びが必要になります。旅行代理店は、それらを下支えする役割を果たしていると言えるでしょう。
なお、近年、旅行会社は出張手配と管理を一体化した、出張管理システムを提供しています。同システムを利用することで出張業務効率の向上が期待されるため、旅行会社に依頼する際は管理システムの導入も検討するとよいでしょう。
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