前回の記事では、海外出張旅費規程の構造について解説しました。
その際、お伝えしたように、規程は3つの項目によって構成されます。
総則:適用範囲や出張の定義などを規程したもの
出張手続き:出張に係る申請から報告・清算までの流れを規程したもの
出張旅費:交通費や宿泊費、日当などの規則を定めたもの
総則は、本規程が誰に適用されるか、海外出張の定義などの区分を明確にすることを目的とします。記載すべき事項としては、以下が挙げられます。
本規程を誰に対して適用するかを明確にします。原則、社員に適用されるものとなりますが、顧問や嘱託社員に対して適用するか否かについても明確にしましょう。
また、海外出張と海外赴任の区分を明確にするため、何日以内の海外渡航に対して、本規程を適用するかを明確にしましょう。なお、海外赴任に係る規程については、記載すべき項目が異なるため、別途、整理するのが良いでしょう。
海外出張の特徴として、地域による物価差が挙げられます。例えば、宿泊費一つにとっても、欧米であれば三ツ星クラスでも20,000円程度の価格に達することはよくあります。一方、東南アジアにおいては、20,000円であれば、四つ星以上の宿泊施設を利用することができます。こうした地域による物価差を考慮して、日当や宿泊費用を規程するため、この段階で地域の区分を行いましょう。
区分/ 国名(地域名)
地域1/ ●●●、●●●、●●●、●●●、●●● 地域2/ ●●●、●●●、●●●、●●●、●●● 地域3 /●●●、●●●、●●●、●●●、●●● |
国内出張と異なり、海外出張においては、目的地に到着するために取りうる経由地が複数あります。その結果、選択した経由地によって、交通料金が著しく変化する可能性があります。そうしたトラブルを避けるため、原則、最も合理的かつ経済的な経路を選択することを求めましょう。
また、出張経路については事前に承認を得ることに加えて、出張経路を変更した場合の取り扱い(承認や費用負担の考え方)についてもここで定義しましょう。
海外出張では、移動の時間も長く、また、想定しえない会食もあるため、労働時間を正確に測ることが難しいと言われています。そこで、所定労働時間を勤務したものと明記するのが良いでしょう。
出張期間中の休日に対する取り扱いについても明記しましょう。特に、出張に伴い、休日移動した場合の取り扱いについては、社員からの質問も多いため、ここで言及しましょう。
海外出張においては、予定していた飛行機が時間通りに出発・到着しない、荷物が届かないといったトラブルがつきものです。また、現地の気候や食べ物により体調を崩すケースも多々あります。そこで、出張の中止・変更に伴う手続きを記載しておきましょう。
以上が総則で触れるべき内容となります。次回は出張手続きで記載すべき内容について解説します。