本コラムは、ビジネストラベルマネジメントシステム(BTM)に関するコラムの第5弾です。
前回は、国内外におけるビジネストラベルマネジメントシステム(BTM)の活用事例について紹介しました。
BTMの活用事例
今回は、1990年代より導入が進んだビジネストラベルマネジメントシステム(BTM)が現在どのようにアップデートされ、活用されているかについて解説します。
コラム「クラウドBTMの到来が出張管理を変える」にて説明した通り、SaaS(Software as a Service)の台頭により、クラウドビジネストラベルマネジメントシステム(BTM)が誕生するなど、様々な技術革新がBTMの新しい形を作っていきました。ここでは進化の鍵を握る技術革新を紹介します。
これまではパッケージ型のソフトウェアが主流であり、利用者は、利用開始前に、パソコンへのインストールを行う必要がありました。そのため、サービスを使うためには特定のパソコンからアクセスする必要がありました。また、ソフトウェアのバージョンアップなどの手間もかかるため、割高かつ手間の多い点が課題となっていました。
近年、クラウドサーバーの台頭により、インターネットを経由してサービスが利用できるようになりました。そのため、インストールの手間がなくなっただけでなく、自動的にアップデートされるなど、利用にあたってのハードルは大幅に下がりました。
API(Application Programming Interface)とは、ソフトウェアが互いにやりとりするのに使用するインタフェースの仕様です。近年、API連携を積極的に行う企業が増えました。その結果、アプリケーション同士で連携することが可能になります。
これにより、例えば出張管理システムと経理システムを連携させたい場合に、これまでであれば高額なカスタマイズ費用が発生していましたが、現在はボタン一つでスムーズにデータが連携できるようになりました。
最後はビックデータの活用です。コンピューターの処理速度が上がったことに加え、システム外部にあるデータとの連携が容易になったことで、これまでにできなかった分析が可能になりました。例えば、旅行者の年齢や過去の利用実績からおすすめのホテルを抽出したり、フライトの価格上昇率を予想するなどの取組が可能となりました。
上記の通り、様々な技術革新を背景に2010年代後半からビジネストラベルマネジメントシステム(BTM)は新たなフェーズに入ってきました。ここでは、欧米において急成長しているクラウドBTMプロダクトを紹介します。
2015年に設立されたシリコンバレーにあるBTM提供企業。ユニコーン企業(評価額10億ドル以上の非上場、設立10年以内のベンチャー企業)として、注目を浴びており、導入社数は4,000社に迫ると言われています(2020年6月20日時点)。
システム内でフライトやホテルの予約ができるのはもちろんのこと、それらの出張データ(渡航情報やコスト情報)が一元的に管理されます。
また近年では、個人の志向にあわせたホテルの提案など、パーソナライゼーション化を進めているとのことです。
https://tripactions.com/
TripsActionsと同じ2015年に設立された企業。スペインにある企業であり、欧州では最も勢いのあるBTM系のスタートアップの1社といえます。
様々なOTAサイトの情報を一まとめにした上で、法人に対し、航空券からホテルまでの予約サービスを提供している点が特徴です。
また、請求書の発行など、コスト関連の透明性や管理性を高めている点も特徴の一つといえます。
https://www.travelperk.com/
欧米では、上記2社の他にも様々なクラウドBTMが誕生し、多くの企業が活用しています。こうした流れは日本においても普及することが予想されますが、出張のスタイルやワークフローは国によって異なるため、各国のルールに合わせてカスタマイズしたクラウドBTMが求められます。
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