本コラムは、BTMに関するコラムの第2弾です。
前回は、BTMの歴史や近年注目されているクラウドBTMについて紹介しました。
クラウドBTMの到来が出張管理を変える
今回は、BTMが備える機能や導入前後による違いについて解説します。
BTMでは出張に関わるさまざまな業務の効率化・最適化を行います。一般的には次のような機能が備わっています。
BTMにおいては、システム内で航空券やホテルの予約が可能になっています。手配の方法に関しては、①電話・メール、②オンラインブッキングが一般的ですが、近年はチャットなどを用いた手配が可能なサービスもあります。
BTMでは、出張者の手配データを一元的に管理することが可能です。手配データには次の情報が含まれています。
航空券に関する情報
利用日、利用した航空会社、出発地-目的地、座席クラス(例:エコノミークラスな)、料金など
宿泊施設に関する情報
利用日、宿泊したホテル名、料金など
ガバナンス強化は、BTMが強みとする特徴の1つです。代表的な機能は、承認機能です。承認機能を活用することによって、出張手配を行う前に手配内容を確認することが容易になります。
また、出張規程遵守を支援する機能も多くのBTMが備えています。多くの企業は出張規程において、航空券や宿泊施設の利用に関する制限を設けており、BTMは、それらの規則を遵守しているか否かを判定できる仕組みが備わっています。中には、オンラインブッキングツールに旅費に関する規程を読み込ませ、その規程内の航空券や宿泊施設のみを表示させる機能を有したBTMもあります。
続いては、安全管理機能です。特に海外出張においては、出張者の安全管理は企業が果たす重大な役割の一つです。BTMでは、出張者の手配内容が確認できるため、どのフライト・ホテルを利用しているかが容易に確認できます。
また、近年はGoogleマップなどと連携させることで、出張者の現在所在地が視覚的にわかる機能を有しているBTMもあります。
前述の機能が活用できるようになると、企業の出張は下記の3点でメリットを受けます。
出張手配が各自によってバラバラに行われている、あるいは、非デジタルな手法によって行われている場合、出張費用に関するデータを収集することは難しく、結果として、費用の分析が行われてきませんでした。
しかし、BTMを導入した場合は、それらのデータが手配とともに収集・整理されるため、企業はいつでも分析を行うことができます。その結果、出張費の傾向分析や削減への改善案を検討することが可能です。
BTMの最大のメリットの1つが間接コストの低減です。紙による出張申請や出張規程との整合や出張者の安全確保のためのデータ収集は、非常に多くの事務コストを生み出しており、BTMが業務を自動化することにより、間接コストの大幅な削減が期待できます。
最後は、出張者の安全性の向上です。社員が滞在するエリアで何かしらの問題が発生した場合は、迅速な情報把握と連絡が不可欠です。BTMの導入は、滞在する出張者の特定や緊急的な連絡を可能にします。
Before | After | |
出張費用の収集 | 自社内でデータを収集し、分析用に成形する必要あり。 | 自動的に収集可能。また、データも事前に成形されている。 |
出張規程遵守チェック | 経理部門等のスタッフが出張申請を一つずつ目視でチェック。 | 規程外の出張申請が可視化されるため、目視によるチェックは不要。 |
安全管理 | 社内スタッフが出張者の申請内容をもとに出張者の搭乗フライトや利用宿泊施設をリスト化する必要がある。 特定地域で緊急事態が発生した場合は、出張申請のファイルから該当者を探す必要あり。 | 出張者の搭乗フライトや利用宿泊施設をリスト化されており、フィルタをかけて検索することが可能。 |
BTMの導入は、人を中心とした出張手配からデータを中心とした出張手配のプロセス構築の足がかりとなり、出張に関する直接コストと間接コストの削減が期待できます。
次回は、BTMの導入プロセスについて解説します。
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